
漢方薬で活躍する「当帰」は、西洋ではアンジェリカと呼ばれているハーブです。
学名は「Angelica acutiloba」。
属名のAngelicaはラテン語のAngelus(天使)に由来しています。
ヨーロッパでペストが流行した時、ある修道僧の夢に天使が現れ「この薬草を使うように」と伝えられたそうです。
その天使が大天使ミカエルで、5月8日の聖ミカエルの日にはアンジェリカの花が咲くと言われています。
アンジェリカは邪悪なものから身を守るハーブで「天使の草」とも呼ばれ、当時はペストという「邪」から守ってくれたのです。
さて、漢方薬に親しみのある私たちは「当帰」の呼び名に馴染みがあるかもしれません。
中国にも当帰の伝説があります。
妻が婦人病を患ったことから、夫が家に帰らなくなりました。
困った妻は知人に教えられた薬草を煎じて飲んだところ、病気が治るだけでなく美しくなり、夫が戻ってきたそうです。
そこで「当(まさ)に帰る」の意味で当帰と名が付いたとか。
いろいろと突っ込みたい伝説ですが、この話から浮かぶのは、当帰は女性の味方ということです。
爽やかでスパイシー、セロリに似た香りがしますが、その香りには鎮静、鎮痙作用があり、生理痛、生理前や更年期のイライラなどの不定愁訴、女性のホルモンバランスに働きかけます。
また、漢方薬では「根」を使いますが、ハーブでは「葉」「花」「種」など全てを使います。
苗を入手したら自宅で育ててみませんか。
夏には生い茂るほど葉が育ちますから、葉をドライハーブにしたり、粉末にしてハーブソルトにブレンドしたり。
精油、ハーブティー、ポプリやチンキ、パンや天ぷらなど、使い道は無限大です。
聖ミカエルの日の頃には毎年、花に出会えるかもしれませんね。


